プレシーズンで露呈した守備の課題と選手層の薄さ
アメリカでのプレシーズンツアーを終えた新生リバプール。アンドニ・イラオラ新監督のもとで新たな一歩を踏み出しましたが、親善試合で露呈した守備の課題は、チームに小さくない警鐘を鳴らしています。イラオラ監督は「結果は望むものではないが、多くの収穫と課題が得られた有益な試合だった」と振り返り、新シーズンに向けた守備構築の難しさを滲ませました。
特に深刻なのは守備陣の層の薄さです。プレシーズンマッチの後半、リバプールは守備の乱れから短時間での複数失点を喫しました。この試合では、ルーク・チェンバースやコナー・ブラッドリーといった若手主体のバックラインで臨み、後半にはコスタス・ツィミカスらを投入したものの、プレミアリーグのレギュラークラスが不在となった時間帯の脆さが浮き彫りとなりました。
キャプテンのフィルジル・ファン・ダイクはトレーニングに復帰したものの、開幕戦で誰が彼の相棒を務めるのかは不透明です。イブラヒマ・コナテやアンディ・ロバートソンら主力ディフェンダーらが他クラブに移籍をし、イラオラ監督は守備陣の選手層について懸念を示さざるを得ない状況にあります。負傷がちなジョー・ゴメスや、ポテンシャルは高いものの未知数な若手だけで長いシーズンを戦い抜くのは極めて困難と言えます。
補強の緊急性とリーダーシップの再構築
スポーツディレクター(SD)のリチャード・ヒューズはチームの遠征に帯同しており、守備陣の補強が必要であることは十分に理解しているはずです。特に右サイドバックとセンターバックを高いレベルで兼任できる実力者の獲得は急務となっています。昨シーズン、アルネ・スロット前監督のもとでは、負傷者続出により中盤の選手をディフェンスラインにスクランブル起用せざるを得ない局面もありました。新シーズンに同様の危機を避けるためには、経験豊富なDFの確保が不可欠です。
また、クラブのレジェンドであるフィル・トンプソン氏は、チーム内のリーダーシップ低下を懸念しています。過去に在籍したジョーダン・ヘンダーソンやジェームズ・ミルナーといった精神的支柱が去った現在のロッカールームにおいて、強い統率力を発揮できるのはファン・ダイクとアリソンのみとなっています。トンプソン氏は「ドミニク・ソボスライのような選手がステップアップし、ピッチ内外で新たなリーダーとしての役割を果たす必要がある」と指摘しており、チーム全体の精神的な成長も求められています。
中盤の再編とカーティス・ジョーンズの去就
中盤においては、ソボスライ、ライアン・フラーフェンベルフ、アレクシス・マック・アリスターといった強力なタレントが揃っています。イラオラ監督は、昨シーズン後半に過密日程の中で疲労が見られたマック・アリスターの完全復活と、フラーフェンベルフのさらなる覚醒に期待を寄せています。
一方で、生え抜きのカーティス・ジョーンズにはインテルへの移籍交渉の噂が報じられています。リバプールは移籍金3500万ポンド(約66億円)程度での売却を容認する姿勢も見せており、この取引の成否は19歳の新星トレイ・ニョニの急成長ぶりにも左右されるでしょう。さらに、遠藤航とステファン・バイチェティッチが万全の状態でトレーニングに復帰したことは好材料であり、ハーヴェイ・エリオットの起用法も含めて中盤の構成には多くの選択肢が存在します。一時期関心が報じられたクリスタル・パレスのアダム・ウォートンについては、競合クラブが多く獲得の難易度は高いとみられています。
前線の新星バルコラ獲得への野心
攻撃陣においては、さらなる選手層の拡充に向けてビッグネームの獲得が噂されています。現在、リバプールが関心を示しているとされているのが、パリ・サンジェルマン(PSG)のフランス代表FWブラッドリー・バルコラです。
PSGはバルコラの市場価値を1億4500万ポンド(約275億円)と極めて高く評価していますが、リバプールは1億ポンド(約190億円)前後での合意を模索していると報じられています。バルコラが持つ圧倒的なスピードと突破力は、イラオラ監督の目指すアグレッシブなスタイルに合致するピースですが、巨額の移籍金が必要となるため、今夏の移籍市場閉幕までにどのような決断を下すのか、フロントの手腕に注目が集まっています。


