コラム、『アーセナルの未来』
ついにアーセナルが、ティエリ・アンリという”大砲”を失った。数年前からスペインへの移籍が取り沙汰されていた彼は、ついにこの夏に移籍の決断を下した。昨シーズン、チャンピオンズリーグでバルセロナに敗れた後、4年契約をアーセナルと結び、「自らの最後の契約になるのではないだろうか」とまで言った彼が移籍した。世の中に絶対はない。それは重々承知しているが、まさか生涯アーセナル宣言(たとえそれが一時的な感情の高ぶりだったとしても)をし、昨シーズン新規契約を結んだ彼が移籍するとは誰も思わなかっただろう。
そしてこれは、アーセナルファンの誤算だっただけではなく、アーセナルというチーム(監督や役員、会長)にとっても誤算だったと言っていいだろう。それはアーセナルの対応の悪さにも現れている。かつて、パトリック・ヴィエラが移籍した時にはセスク・ファブレガスというおおまかな後釜がいた。しかし、アンリの後釜として獲得されたのは、クロアチアリーグの得点王。それも、以前から獲得を狙っていたというよりは、アンリの移籍にあわてて獲得したようなタイミングだった。ベンゲルのコメントによれば、前々から狙っていた選手らしいが、アンリが”万が一”いなくなったときのために狙っていた選手というようにしか私には思えなかった。
確かに現在のアーセナルには、アンリ2世(としてベンゲルは育てたいのだと私は思っている)のファン・ペルシーがいる。ちゃんと後釜はいるではないか?そういう疑問をもたれる方も多いだろう。他にもアデバヨールや後釜に指名されたエドゥアルド・ダ・シルバもいる。しかし、彼らはまだ未知数の領域を超えられないのだ。アデバヨールは言うまでもないだろう。昨シーズンのパフォーマンスでは、アンリの穴を埋めるピースの一部にすらならない。エドゥアルドはプレミア初挑戦。ファン・ペルシーは確かに昨シーズンのアーセナルの稼ぎ頭だったが、彼はアーセナルの加入して以来、シーズンを通して点を稼いだことがないのだ。つまり、どの選手も”一瞬輝いた選手”の領域を超えられないというわけだ。
ちょっとまて。それはセスクのときもそうだったじゃないか?確かに、セスクのときもそうだった。彼はそのときまで、シーズンを通して活躍したことがなかったのだ。つまり、来シーズンが05・06シーズンの再現になる。そう私は考えるのだ。
■来シーズンのアーセナル
思えば、05・06シーズンのアーセナルは”終わりよければすべてよし”で片付けられている気がするのだ。前半戦は最悪。とてもその2シーズン前に無敗優勝をかざったとは思えないようなチームだった。7、8位をうろうろし、ベンゲルは終わりとも言われていた時期だった。しかし、最後には歴史上初めてのチャンピオンズリーグ決勝戦進出を成し遂げた。その要因は紛れもなくセスクだ。しかし、彼が急成長したのはチャンピオンズリーグの中での試合。つまり後半戦。一瞬輝いた選手からシーズンを通して活躍できる選手に少しでも進んだのは後半戦なのだ。そう、あの時、セスクはあの時と同じである。絶対放出できなかった選手を失ったあの時と同じ・・・。つまり来シーズンは05・06の再現(前半戦は最悪、後半戦に奇跡の追い上げという形)になると予想する。
しかし、それはあくまでチームの戦いの軌跡の形。周囲が同じ形を再現してくれるはずはない。あの時のように、スパーズがここ一番で結果を出せず、ボルトンがもう一つ安定感に欠け、ブラックバーンがなぜか自信をなくしたようにずるずると下がっていってしまうようなことは期待できない。少なくとも、この3チームはあの時よりもはるかにパワーアップしている。つまり、アーセナルがこける前半戦、彼らがどこまで”待っていてくれるか”期待できないのだ。つまり来シーズン、アーセナルが4位以上に入る可能性は05・06シーズンより低いといえるのだ。
■正念場
総括としてもう一度。来シーズン、アーセナルはベンゲル就任してから最も厳しいシーズンを過ごすことになると予想する。理由は上記の通りだ。もし4位以内に入れなかったらベンゲルの契約交渉にも影響が出るだろう。もしベンゲル退団が現実のものになってしまえば、アーセナルにとって大打撃ではすまない事態になる。現在のチームにはベンゲルをしたって入団した選手が大勢いる。それらの選手が退団しないとは言い切れないからだ。アーセナルファンは来シーズンはずっと胃をいためながら過ごすことになるのかもしれない・・・。
Written by ジャクリン
- 2007 年 7 月 13 日 -
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この記事書いた人はシーズンが終わった後にどう思ったんだろう。
まったく言った事が全て外れたわけだしね
あくまでもシーズンが開幕する前のプレビューですので、ご了承ください。