コラム、『夢の決勝に向けて』
先日の欧州C/L準々決勝/ 2nd-legの結果は、プレミアファンにとって夢にまた一歩近づくものとなった。出場した3チームが全て勝利を上げ、準決勝進出を果たしたのだ。この結果はイングランド勢にとって初の快挙となったが、長いC/Lの歴史でも同一国から3チームが出場する準決勝は3度目の出来事になる。
そしてチェルシーとリバプールのイングランド勢同士による準決勝の1試合は既に決定していることから、3季連続で決勝の舞台にイングランドのチームが出場することも決まった。こうなるとプレミアファンとしてはもう1試合の準決勝からマンチェスター・ユナイテッドが勝ち上がり、史上初のイングランド勢同士の決勝戦が最大の関心事になるだろう。同一国から準決勝へ3チームが進出した過去2度の大会では、いずれも同一国のチーム同士で決勝戦が行われていることもあり、それ故マンチェスター・ユナイテッドに寄せられるイングランド国民の期待は大きいはずだ。
そこで気になるマンチェスター・ユナイテッドの準決勝の対戦相手だが、イタリアの強豪ACミランに決定した。
これまでリーグ優勝17回、C/L優勝6回、トヨタカップ優勝3回(旧インターコンチネンタルカップ含む)等の数々のタイトルを手にしてきたACミランは、とにかく経験が豊富なチームだ。ここ5年間に出場したC/Lではいずれも8強以上の成績を残し、2003年以降は隔年で決勝戦へ進出している。また3つのクラブでビッグイヤーを唯一手にしているセードルフ(オランダ代表MF=31)や、今回が最後のC/Lになるマルディーニ(元イタリア代表=38)、攻撃の要のカカ(ブラジル代表MF=25)など、選手も経験豊富である。
そしてチームとして何よりの経験は、2年前のイスタンブールで行われたリバプールとのC/L決勝戦であり、この試合で得た教訓を彼らは決して忘れてはいない。準々決勝の2nd-legを前に、勝ち上がるためには厳しい条件を敵地で成し遂げる必要があったが、彼らは自らが経験した苦い教訓を活かし、見事な勝利を上げている。この試合からも同じ準々決勝でマンチェスター・ユナイテッドが対戦した、イタリア勢のローマとは一味違う手強い相手と言えるだろう。
ここで気になる過去のデーターを見つけた。今年のC/Lの決勝戦の舞台はアテネのオリンピック・スタジアムで開催されるが、過去に2度行われたギリシャでのC/L決勝戦では、いずれもイタリア勢が決勝の舞台に立っている。また前述の通り2003年以降は隔年ごとに決勝進出を果たしているが、今年は決勝戦に進出する年にもあたる。さらにACミランはこれまでに10回のC/Lの決勝戦を戦っている(チャンピオンズカップ時代を含む)が、89/90シーズンより6回のC/Lにおける決勝戦での成績は優勝、準優勝を繰り返していて、順番からするとACミランが7回目の決勝戦へ駒を進めた場合は、今回は優勝の順番となるのだが・・・。
同国同士の決勝戦を期待するプレミアファンにとっては何とも嫌なデーターだ。同国同士の決勝戦はおろか、ビッグイヤーまでもを手にすることが出来ないデーターでもある。しかし、フットボールにおけるこの手のデーターは、試合開始の笛が鳴るまでを盛り上げる大切な一つの要素であり、フットボールには欠かすことの出来ない”酒の肴”なのだ。それは試合前にスタジアム内外で繰り広げられる激しい応援合戦であったり、様々な衣装に身を包んだ個性的なサポーター達を見たりと、会場の雰囲気を楽しむこととそう変わらないのである。不思議と試合が大きければ大きい程にこの"肴"たちは大切であり、これらがないと旨い"酒"は楽しめないのである。
マンチェスター・ユナイテッドが史上初の2回目の3冠を獲得するのか、天才モウリーニョ率いるチェルシーがフットボールの歴史に新たな名前を刻むのか、それとも古豪リバプールが上の2チームに待ったをかけるのか・・・。いずれにしても目の離せない結末までは残りわずかである。フットボールファンとしては今シーズンのクライマックスを”酒の肴”と一緒に楽しもうではないか。
Written by MA-
- 2007 年 4 月 17 日 -
- Category : コラム, ヨーロッパリーグ -
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- 3 Comments
プレミア勢が3チーム残って、楽しみですね。
とても詳しく書いてあって、読みやすいコラムでした!
>ジミーさん
コメントを有り難うございます。まだ書き始めたばかりですが、今後もコメントを頂けるようなコラムを目指して行きたいと思います。
デビッド・ベッカム
デビッド・ベッカム